『高校演劇における上演許可の必要性と5000円(その1)

ブログを書くのに飽きてしまい、年単位で更新をサボってきました。
また、仕事や私事での忙しさも大きな要因でした。
そんな私に「ブログを再開したい」と思わせる出来事がありました。


この夏、私は通信制の大学のスクーリング(法学部)で「知的財産法」を受講しました。知的財産法の領域には著作権法が含まれます。そこで、著作権法第38条1項の規定に出会い、できれば卒業論文のテーマにしたいと考えています。


著作権法38条1項の条文は次の通りです。

「公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。」

「それがどうした」って言われそうですね。実は高校演劇の世界では大会で既成の脚本を上演するときは、必ず著作権者に上演許可を受けるよう指導しています。上演許可がない場合は上演させないという対応を取っている県高校演劇連盟もあるようですし、上演許可を受けることに対する指導は年々強化されています。


さて、それでは連盟の指導にしたがって著作権者に上演許可を求めるとどうなるのでしょうか?


許可はたいてい下ります。
著名な作家の方でもたいてい大丈夫です。なかには上演許可書に自筆のお手紙や高校生への励ましのメッセージを添えてくださる方もいて、そんなときにはかなり感激します。
(もちろんダメなときもあります。たとえば、演劇界ではよく知られているように三谷幸喜さんは自分が直接絡んだ?上演以外には一切上演許可を出しません)


さて、この場合上演許可は無料だと思います?
もちろん無料の場合もあります。
でもたいていは5000円取られます。
著作権法38条1項はどこへいってしまったのでしょうか?


私は、自分自身の調査と考察の記録として、これからこの問題を中心に、基本的には上演許可を強制し5000円取ることを批判するブログを書いていきたいと思います。


(誤解してほしくないのですが、私は演劇が好きです。自慢するほどではないにせよ、毎年50本以上、多い月には10本くらいはちゃんとお金を払って芝居を観ています。自分が上演に関わるときには、非営利の無料公演ですが、著作者から請求されれば、さしあたり上演料は払っています。だからこそ、この問題のスッキリしない感じが嫌なのです。5000円をケチろうっていうのではなく・・・。そして、極論をすれば(しちゃったらこのブログの存在意義がない気もするのですが・・・)、著作権法38条1項がなければ、上演許可についても、5000円についても、現状はベストかどうかは分かりませんがベターだと思っています。:以上括弧内2008年8月26日追記、9月22日修正)


とりあえず、現段階で考えている、今後ブログで取り上げていきたいテーマをいくつかメモしておきます(以下の用語・団体名等は不正確です。)。
・高校演劇の全国の連盟と全国演劇連盟の取り決めの内容
著作権法38条1項と著作者人格権や翻案権との関係
・各県の高校演劇連盟による加盟校顧問や部員への説明の不正確さ
・演劇連盟の説明の不正確さからくる法教育上の問題点
・一部?の強硬な?作家さんの問題
・都立青山高校の文化祭のこと、それ以外の普通の学校の文化祭のこと
・礼儀としての上演許可と法律的な問題との関係
三谷幸喜さんみたいな方の問題
・悪名?高いジャスラック著作権法38条1項と学校教育の関係

ではこれから今年5回目のミス・サイゴンを観てきます。